マネジメント実験室

小さな企業の経営・マネジメントを通して日々考えたこと、学んだこと、感じたことを。

リーダーシップ論

マネジメントとリーダーシップについて書かれた書である。この中ではマネジメントの仕事とリーダーとしての仕事を次のように定義している。
●マネジメントの仕事:計画と予算を策定し,階層を活用して職務遂行に必要な人脈を構築し,コントロールによって任務をまっとうすること。
●リーダーの仕事:ビジョンと戦略をつくり上げ,複雑ではあるが同じベクトルを持つ人間を背景に実行力を築き,社員のやる気を引き出すことでビジョンと戦略を遂行すること。

リーダーシップ論―いま何をすべきか (ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス経営論集)

リーダーシップ論―いま何をすべきか (ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス経営論集)

どのようにしてマネジメントを進めるのか,いかにリーダーシップを発揮すればよいのかについて,具体的なノウハウが述べられている。ただしこれらを普段意識しながら実践するのは結構大変だと思う。
チャプター構成は次のとおり。
1.リーダーとマネジャーとの違い 
2.人を動かすパワーをどう獲得し行使するか 
3.上司をマネジメントする 
4.変革プロセス その八段階
5.変革への抵抗にどう対応するか 
6.有能なゼネラルマネジャーの行動


この中で最も役に立った情報は,第6章にある『ゼネラルマネジャーの1日』である。著書の中ではインフォーマルな情報がいかに組織にとって重要であり,また組織を動かしているかということについて触れられているが,この1日のマネジャーの行動は正にそれを裏付けるものである。マネジャーは社内のちょっとしたコミュニケーションから情報を収集し,即決していく。フォーマルな会議はオーソライズするための場である。日本の“根回し”に近いなという印象を受けたが,日本のものほど政治的な匂いがしない。こういうことは本から学ぶというよりは,みんな実践から学んでいるのではないだろうか。改めて本にするというのは学者だからだろう。