マネジメント実験室

小さな企業の経営・マネジメントを通して日々考えたこと、学んだこと、感じたことを。

元気なうちに家に帰れるといいですね

■病院が変わってきたのかな
がんの終末期=ターミナル期の方は,その多くが病院で亡くなっています。


一部の方は,自宅で死にたいという強い希望とそれを支える家族のサポートに恵まれて,在宅ホスピスを選択します。
しかし,家族のサポートだけでは在宅ホスピスを続けることは難しく,ケアマネ,在宅医,訪問看護師,介護ヘルパーなどの連携が必要条件となります。


私たちも,ターミナル期の方々に在宅での看護サービスを提供してきましたが,最近は元気なうちに自宅に戻れる方が増えています。
まだ意識もしっかりして活動できる内に,自宅や旅行先で外泊できたり,あるいは在宅での緩和ケアに切り替えたりできるということです。


ターミナル期のケアにあたった方であればご存知だと思いますが,容体悪化に向かう直前に,とても安定した時期が見られるのですが,この時期を自分の過ごしたい場所で過ごせる方が増えてきたという印象を持っています。


ほんの2,3年前までは,容態が悪化してもう余命が1,2週間の状態になってから,最後の最後に一時外出で自宅に数時間戻るのもやっと,というケースがほとんどでした。帰れるならまだしも,もう外出する体力すら残っておらず,意識も無く,主治医の同意が得られないというケースも結構ありました。


ぎりぎりの状態まで延命を図るのが家族にとっても本人にとっても,そして病院にとっても最もスタンダードな選択肢だったのかもしれません。 


それが,最近では医師に代表される病院の意識が変わってきたのでしょうか,本人の意思を最優先に治療を組み立てているところが多く見受けられます。 


以前は,院外の看護師が病院内に入ってくること自体,胡散臭そうな目で見られることも多かったのが,最近では積極的に在宅支援を行っている病院も多数あります。


■患者と家族の意思が問われる
こうなってくると,ターミナル期に際しては,『今後どうしたいのか』という患者とその家族の意思が求められるようになります。


「先生,ひとつよろしくお願いします。」といった曖昧なスタンスでは,医師は延命措置を最優先に治療にあたるざるを得ません。


積極的な延命治療を望まないのであれば,はっきりとそう主治医に伝えなくてはなりません。その上で,想定されるリスク,今後の治療方針などを相談していくことになります。


ホスピスへの転院を考えているのであれば,出来るだけ早く,転院先のホスピスを探してください。ホスピスは病床数が少ないし,緩和ケアを望む患者は多いのでどこも待ち状態だからです。


在宅ホスピスを希望する場合も,その旨をきちんと医師に相談するべきでしょう。医師の回答が納得いかないのであれば,セカンドオピニオンを求めるべきだと思います。


在宅ホスピスの場合は,モルヒネの使用を含めた『緩和ケア』に精通した在宅医の存在は欠くことができませんので,病院からも情報収集を行うべきでしょう。


ターミナル期の患者を避けたがるケアマネや訪問看護もあるので,在宅医以外の在宅周りの情報収集も並行して進める必要があります。


『象の背中』のようにうまく事が運ぶケースばかりではないというのが現実だと思います。

『象の背中』公式サイト
 http://www.zo-nosenaka.jp/top/index.html

         

■在宅ホスピスはまだまだ数が少ない
在宅ホスピスから在宅での看取りの実現にあたっては,まだまだ条件に恵まれた場合,あるいは家族が強い意志を持っている場合など,実現できるのは限られた場合かもしれません。今後,私たちのサービスも含めて,社会的なインフラがもっと整ってくれば,増えるものと思われます。


現状は,在宅ホスピスを支える社会的インフラの地域間格差もかなり大きいですから,どんなに家族が望んでも,地方では現実的に難しいということがあると思います。


ただ,積極的に情報を集めれば,地方でもよい在宅医は必ず見つかりますから,早い段階から動き始めることをおすすめします。