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マネジメント実験室

小さな企業の経営・マネジメントを通して日々考えたこと、学んだこと、感じたことを。

社員に期待しない会社はダメになっていくのか

結論から言うと,経営者が社員に期待しない会社がダメになるのではなく,業績が落ちると社員のせいにして社員に期待しなくなるような経営者は,結局のところ自らの無策を反省することが無いから,いつまでたってもダメ経営者なのではないかということ。ダメ経営者の会社は必然的にダメになっていくしかない。


■会社の業績が停滞している

会社の業績が停滞している。ここ約1年かけて徐々に伸びが無くなり,低迷して蛇行する状態である。トップダウンでカンフル剤的な施策を打てば,一時的に業績は回復するかもしれないが,潜在する課題に優先順位を付け,地道に取り組まなければ将来的な成長は難しいと思う。。


世界同時金融恐慌だからどこも同じようなものだろうと言われるが,こと我々のヘルスケア分野においては金融恐慌は直接的には市場に影響を与えていない。数少ない成長の見込める分野である。


したがって,ダメになっているのはうち固有の問題(もちろん競合との競争も含め)が大きいと考えている。


いろいろ複合的な要因でダメになっているのだが,社員に危機感が共有されていないとか,慢性的に疲弊感が漂っているとか,経営陣と一般社員の距離が離れているとか,そういう細かなマネジメントに関わる部分もどこからどうやって手を付けようかと悩ましい状態だ。


業績が悪くなると,それまで表面に出ていても気にかけなかったような部分が気になり始め,課題の優先順位付けに迷いが生じる。議論をしてもなかなかまとまらず,ありきたりの結論で終わってしまう。


なぜこうなってしまったのか,業績が落ちたから必然的に雰囲気も悪くなったのか,きっかけはあれかこれか,回復のきっかけはどれか,などなどいろいろ考える中で,調子の良いときに比べて経営陣のスタンスとして顕著になったなと思う点があった。


『経営陣が社員に期待しなくなった』という点。


もともとのスタンスとして社員に期待しない経営メンバーもいていいのだが,全体がそういう雰囲気に流れている。


■人に期待するにはエネルギーが要る

人に期待する時の期待値レベルというのは,期待する側の能力や社会人になってからの経験によってその初期値が結構決まってくる。自分の能力が高ければ相手にも高いものを要求してしまうのが普通だろう。
相手を見て期待値のレベルを調整するというのは,それなりに経験を踏んでいるからこそできる技である。


バカ正直に期待しては落胆し,挙句の果てに社員に期待することをしなくなった。期待することを避けるようになったということだと思う。そういうのがバカらしいと達観して早々に期待しなくなる場合もある。ただ期待できないと割り切る前に,期待できるよう社員を育てたわけでもなく,社員個々人を見て期待値レベルを調整するという経営陣側の成長も無かった。


期待しないということは育てないということに通じる。『育てたところで育たない』ということを前提にしてしまう。


期待するというのは前向きな心理だから,結構エネルギーが必要。期待を裏切られてがっくりすると,エネルギーがマイナス側に落ち込む。本能的にがっくりしたり,余計なエネルギーを使いたくないから,だんだんと期待することを避けるようになる。


その結果が,社員に期待しなくなった,期待しなくてもしょうがないという現在の状況なのかなと思う。


■人材と仕組みは一体

人を育てない,人が育たない状況が常態化してくると,経営者は人材を頭数としてのみ見るようになってくる。


『仕組みで回せないか?』というのは陥りやすい罠だと思う。


仕組みがしっかりしていれば,社員はただ言われたことをやっているだけで事業が回っていくのではないかと考えるようであるが,私は違うと思う。


人の人材としての能力は生まれ持った資質と成人するまでの環境,そして社会人になってからの初期教育でほぼ決まってしまうと私は考えている。
大きく分けると,付加価値を生み出せる人材,単純再生産なら可能な人材,そして単純再生産も難しい人材の3種類に分けられる。


会社が仕組みだけで回るのは,単純生産なら可能な人材を効率よく回転させられるノウハウを,付加価値を生み出せる人材が考え出すからだ。普通はそこに単純生産も難しい人材が紛れ込んでいるから,仕組みだけでは回らないことが多い。なんとか教育を施して,単純生産ならできるようにし,仕組みで回るようにと努力する。


社員に期待しないと言いながら,仕組みを作れば回ると考える経営者は,世の中には単純生産もおぼつかない人間がいることを念頭に置いていないし,単純生産ならできる人材でも,働きかけがないと簡単に単純生産できない人材になってしまうことも実感としてわかっていない。


仕組みは仕組みで独立して存在しているわけではなく,人が動くことが基本にあっての仕組みである。仕組みに人をはめ込むのではなく,人の形に仕組みを組み立てていくのだ。ルーチン業務だって,担当者が変われば細かなチューニングは必要。



ということで冒頭の結論につながるのだが,社員に期待しないことが業績の低迷を誘発しているのではなく,社員に期待しなくなるというのは結局経営者の実力の無さの現われのひとつであり,その実力の欠如が業績の低迷にもつながっているのではないだろうか。社員のレベルに応じて期待したり,期待に応えられるように教育したりする実力がないという結果が業績の低迷につながっているのだと。


ということで我々もそろそろ成長しなければ,社員の成長も無く会社の成長も無いということである。