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マネジメント実験室

小さな企業の経営・マネジメントを通して日々考えたこと、学んだこと、感じたことを。

大企業から眠れる人材を解き放て!転職を決断できない中堅社員こそ流動化するべき人材だ

 ■大企業の眠れる人材が不良在庫化する!?

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  景気がよくなってきているものの、大企業においては、これまでの事業効率化や組織見直しにより、管理職のポストが劇的に増えることはないだろう。優秀な新卒として入社した社員全員がそれなりの管理職に就き、やがては役員になるという図式は、もはやとうの昔に無くなっている。このため、相応のポストには就けないものの、実務経験、やる気ともに十分ポテンシャルを持った人材が、仕事に恵まれずに“不良在庫化”してしまう事例は結構あるのではないだろうか。彼らが“不良在庫化”する前に、そのポテンシャルを活かせる場=他企業への転職が実現すれば、大企業内で腐らせておくこともなくなるし、本人にとっても活き活きと働けるチャンスとなるのではないか。

 ■大企業の社員ほどリスクに二の足を踏む

  ここで問題となるのが、“不良在庫化”の可能性を持った人材は、社内ポストが無く、将来に危機感は持っているものの、積極的に転職活動によって新天地を求めるかというと、そこは二の足を踏んで、悶々としているケースが多いのではないかということ。倒産やリストラのリスクはあるにせよ、目の前にある危機ではない。これは私自身がそうだったのだが、新卒で大企業に就職してしまうと、社内でそれなりにバリバリやっていても、社外で通用するという自信がいま一つ持てないのだ。IT系のエンジニアのように特定の技術分野に特化していればよいのだが、特定の業界の特定の企業でどれだけまじめに頑張っていても、自分の市場価値などわかりようがないのだ。だから、外に出て力を試してみたいと思いつつ、実際は大企業内で日々の業務に没頭して、先のキャリアを考えることから逃避してしまう。

 一方、中小企業やベンチャー企業では、必ずしも積極的なキャリア構築を目指している人材や突出したスペシャリストを必要としているわけでは無く、大企業で通用するような業務スキルや経験を有してる人材であれば、十分に貢献してもらえると考えている。まさに上述したような、大企業内で悶々としている中堅人材であれば十分なのだ。ところが、大企業におけるこういった中堅人材へのアプローチができないために、すでに転職を決意したような人材=転職希望者だけを対象に、募集活動を行うしかない。

■転職したい人=優秀な人とは限らない

 ここでもうひとつ問題があって、転職市場に出回っている人材が必ずしも優秀な人材ではないということ。もちろん、留学してMBAを取得したような人材も転職市場には出回っているが、組織に不適合だったり、ストレス耐性が低かったり、大企業では結局使えなかったような人材も流れてくる。なまじ大企業にいたから、プライドだけは高くて困るということも多い。トップ層でなくてもいい、大企業で普通に頑張って、コツコツ成果を出している人材でいいのだ。『いいのだ』という表現は不遜で適切でないかもしれない、そういう人材が『欲しいのだ』。

 私自身どうだったかというと、ベンチャーに転職しないで、ずっと大企業にいたままだったら、部長くらいにはなれたかもしれないが、事業部長や役員なんて恐らく無理であったろう。仕事はできる部類ではあったが、組織のパワーバランスを見て自分のポジショニングを考えるということが嫌いだったので、上から見れば使いにくい人材だったに違いない。年齢を経て、そういうことがわかるようになった時点では、すでにおもしろい仕事も出世のチャンスも目の前を過ぎて行った後だったろう。早めに小さな組織、ベンチャー企業に転職できたおかげで、経営メンバーとして仕事をすることができたし、人生を賭けてみようと思う事業で独立することもできた。

 ほんの少し背中を押してくれる制度や転職リスクを軽減できるような仕組みがあれば、大企業で力を発揮しきれていない人材がもっと中小企業やベンチャー企業に流れていくのではないだろうか。

■どのような制度、仕組みがあればいいのか

  私が働いていた企業では休職制度があった。本来の目的は、私費留学やセカンドキャリアを見据えた資格取得のために最長3年間は会社に籍を置けるようにするためである。休職明けの職場は変わっても、ポジションは変わらない。私はこれをベンチャー企業での短期就業にあてた。休職中に他の企業で働いて給料をもらうわけだから、前例がなく、直接人事にかけあった。制度的には期間中の就業を禁止しているわけではなかったため、所属の事業部長決済となり、上司の取りなしもあって認めてもらえた。

    行くベンチャー企業は決まっていた。以前研修でお世話になったベンチャー企業で、もちろん社長とも面識がある。数年前に立ち上げた新規事業がうまくいかず、そろそろ見極めようとしていた時期で、私が担当して売上げが上がってこなければ、事業を断念するという方針であった。研修期間中にその新規事業に携わっていたということもあるが、とにかく任せられる人材がいなかったのである。新規に募集して雇うよりはリスクは低いという判断もあっただろう。

    幸いなことに、売上げは上向き始め、3年の事業運営を経て、そのままベンチャー企業に転職した。元の企業では休職期間であるわけだから、戻ることもできたが私は転職を選んだ。

    このようにして、私は3年間の“力試し期間”を経たおかげで自分の実力を把握することができ、不安はあるもののスムーズに転職をすることができた。ベンチャー企業では最初の年収が元の企業の70%くらいに落ちたが、大企業ではないのだから当たり前だし、留学することを考えれば安い出費である。もし、ベンチャー企業で適正がなければ元の企業に戻ればいいのだ。大企業ではそれなりに成果を出せるのだから。

   大企業と中小企業、ベンチャー企業が提携して、人材の流動化を図ることはできないのだろうか。もしくは転職エージェントが介入してもいい。大企業では優秀な社員であっても全員にポジションを用意することはできず、一方中小企業、ベンチャー企業では大企業での実務経験のある中堅人材が欲しい。私が経験した休職期間中のお試し就業がベストとは言わないが、何か少しでも心理的ハードルを下げる制度があれば、もっと人材は流動化するのではないだろうか。

    大企業で悶々としている中堅社員は、自分が思っているよりも市場価値はあると思う。もちろん今の企業に留まって力を発揮する選択もある。しかし、もっとやれるはずだと考えるのであれば、何か行動を起こせば、違った展開があるのではないだろうか。

www.huffingtonpost.jp