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マネジメント実験室

小さな企業の経営・マネジメントを通して日々考えたこと、学んだこと、感じたことを。

自分たちの限界を知っているからこそプロなんだと思う~要求がエスカレートする利用者との関係から

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■「プロなんだから」という殺し文句で組織崩壊

 看護師という医療の専門家によるサービスを提供(『アラジンケア』ブランドでプライベート看護サービスを提供 http://aladdincare.com)していることもあって、利用者から次のような言葉が発せられることがあります。

「皆さんプロなんだから期待してます。」

「プロだからお願いしたのに何でできないの?」

「プロだからこれぐらいしてくれてもいいでしょ。」

「プロだから高い料金取ってるんでしょ。」

私たちは、利用者の期待値を超えるようなサービスを追及していますから、自分たちで言うのもなんですが、ほとんどの利用者に対して高い満足度を達成していると考えています。

もちろんクレームを受けるスタッフもいます。ミスも犯します。

しかし、クレーム対応やミスのリカバーも含めて、総合的には満足をいただくことがほとんどです。

しかし、利用者の中には、私たちの実力を超えて、高いレベルの満足度を求める方、要求レベルが段々エスカレートする方もいます。

私たちはサービス提供者側ですから「プロだから」と言われると、ついつい要求に応えなければならないという気持ちになります。

また『看護』は相手の状況や気持ちに寄り添うことが基本でもあるため、現場で働く看護師も何とかしてあげたいと頑張ってしまいます。

利用者側もそのことをよくわかっていて発言しているのでしょう。

 私たちもかつては利用者の要求は絶対で、「何としても応えなければ」、「ノーと言いたくない」、とがんばっていた時期があります。

 結果としてどうなったか。

まずスタッフが疲弊して退職者が後を後を絶ちませんでした。残ったスタッフもストレスのため不平不満が大きくなり、チームワークは最悪の状態に。そのため、新しい依頼があっても人的にもモチベーション的にも応えられず、売り上げも下がっていくという悪循環に陥りました。

www.m3.com

■方針転向して無理なことは無理と言える組織に

そこである時方針を転向し、「できないことはできない」、「無理なことは無理」と利用者にはっきりと伝えることにしました。

私たちの利用者には経済的に余裕のある方々、具体的には企業のオーナーや経営者、その家族、一族が多いため、人やサービス事業者を使う機会も多く、お金で問題を解決することにも慣れています。

ですから、「できない」、「無理」と言われることに抵抗を示したり、場合によっては感情的になる利用者もいらっしゃいます。

それまでは、利用者のそういう反応が恐かったり、事業者としての評判を落としてしまうのではないかと心配するがゆえに、無理をしていた部分がありました。

しかし、スタッフあっての組織であり企業なので、よくよく考えた上での結論が「無理」である場合には正直に伝えることにしたのです。

思い切って方針転向して正解でした。

はっきりと伝えることで、ほとんどの場合、こじれることなく解決します。利用者によってはサービス利用を止めてしまうこともありますが、組織が崩壊することを未然に防げたわけですから、よい結果として受け止めています。

「無理」なことを正直に「無理」と伝えることは、誠実な対応であると思います。

誠実であるからこそ、それが相手にも伝わるのだろうと思うのです。

もちろん、「無理」という結論に至る前には、よく考え、よくよく議論します。

・工夫をすれば可能な範囲なのか。

・追加のコスト次第で実現可能なのか。

・自分たちのサービスシステムでそもそも可能なのか。

・要求に応えられたとして継続可能なのか。

 このようなことをしっかり考えた上での合理的な判断が「無理」ということであれば、それを率直に伝えるしかありません。

■サービス開始前の説明が大切

 しかし、サービス提供を受ける側としては、実際にサービスが始まってから「無理」と言われるのは感情的に納得がいかないこともあるでしょう。

もちろん、サービスが開始されてから要求がエスカレートすることによって、「無理」なことが出てくるわけですから、客観的に見れば利用者が無理難題を言っているという構図ではあります。

それを前提としたとしても、未然に防げるトラブルは防ぐに越したことはありません。労力は利用者の満足のために前向きに使う方がよいのです。

そこで私たちは、事前のサービス説明時に、できること・できないこと、得意なこと・不得意なことを伝えるようにしています。

サービス事業者としては、「何でもできます。がんばります。」と言いたいところですが、後々のトラブルを回避するためにも、正直に自分たちの実力を開示します。

自分たちの今現在の実力、つまりは自分たちの限界を知っていることもプロとして必要な資質なのだと思います。個人でも組織でもそれは変わることはないはずです。