■地政学がキーワード
アマゾンで検索すると,先に紹介した「アラブの大富豪」と併せて買っている人が多いとあります。
これはたぶん日経ビジネスの同じ号で紹介されていたからではないでしょうか。
(私もその口なので・・・)
「今のロシア」がわかる本 (知的生きかた文庫 あ 30-1)
- 作者: 畔蒜泰助
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2008/03/19
- メディア: 文庫
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内容は,プーチンがどのような国家戦略で,冷戦後に弱体化したロシアを建て直してきたのかというものです。
ロシアの国家戦略を語るときには必ず出てくる“地政学”がキーワードになっています。
■状況証拠から確度の高い仮説を導く
現在進行形で展開される各国の外交政策については,表に出てくるものだけを見ていてもその真意はわかりくいのですが,状況証拠的な周辺事実を併せて考えていくことで核心に近い仮説を導けるものだと思います。
本書の中では,プーチンが主導するプーチン・ロシアの地政学的な戦略は,『世界秩序の多極化』をコンセプトとしており,このコンセプトを実現するために次の2つの柱があるとしている。
①「対テロ」を軸にアメリカと戦略的関係を構築する。
②エネルギーを軸にドイツと戦略的関係を構築する。
そして,対立軸として,①に関しては,アメリカの一極支配を目論む米ネオコン,②に関しては,プーチン・ロシアの掲げる国家利益の最大化に反して私利私欲を優先させるロシアの振興財閥グループ=オリガルヒとそこに癒着する政治家・官僚を挙げている。
これら対立軸の動きも状況証拠としながら,仮説を証明してみせています。
もちろん,全ての仮説が正しいとは証明はできませんが,世界情勢に詳しくない私のようなものは,ついついなるほどと唸ってしまいます。
ロシアを中心にして見た世界情勢の動き,と読んでみても十分に読み応えはある一冊だと思います。