マネジメント実験室

小さな企業の経営・マネジメントを通して日々考えたこと、学んだこと、感じたことを。

希望がないのは絶望ではない

■犯罪者予備軍はたくさんいます
秋葉原通り魔事件の容疑者が書き込んでいたように,彼のような犯罪者予備軍はたくさんいる気がします。しかも確実に増えているでしょう。日本はやっぱり貧しくなっているんだと思います。どこの世界でも,貧しいものは不満を蓄積し,なにかきっかけがあれば暴走します。それが彼のような殺人という形になるとは限りませんが,何らかの形で鬱憤を晴らそうとするでしょう。


彼の出現を直感的に予兆と感じる人も多いと思いますが,予兆なのか例外的なのかはこれからの社会情勢がどうなるかを見なければわかりません。


■閉塞感は伝わってきます
彼の書き込みを読むと,この程度のことで殺人を犯す必要があるなら,世の中みんな殺人者だと感じた人は多いでしょう。彼は彼の基準を満たす希望が持てなかったようですが,かといって絶望していたわけではなさそうです。殺戮に希望を求めたんでしょうか。閉塞した状況から抜け出そうと,非常に短絡的な方法で希望=快楽を求めたようですね。


■希望は誰にでも平等に存在するものではない
彼の書き込みを読んでいて,「希望は持てるものだ」という前提があるように感じるのですが,これは彼の世代に共通の認識なのでしょうか。違って欲しいと思いますが。

希望のあるやつにはわかるまい,といった記述がありますが,希望を持てるものに逆恨みする人間が増えれば社会不安は増大してしまいます。


希望はただ生きていれば持てるというものではなく,持つためには能力も努力も環境も必要でしょう。彼の置かれた状況で希望を持てないのは当たり前のことで,彼もそれは理解していたはず。でもそれが鬱屈した不満になっていることは明らかです。


派遣社員として雇用が不安定であり,将来の不安がとても大きいのは事実なのでしょうが,日本にいる限りは飢えて死ぬことはありません。それ以上のものを求めるのであれば,先にも書いたように能力も必要だし,努力もしなければならないし,サポートする人がいるなどの環境が必要。それがないならば,死なないことをまずよしとするしかない。


■社会の構造的な問題なのか

若年層非正規雇用者からの搾取の構造というのは,これはこれで問題です。しかし,その構造の犠牲者として彼が犯罪に走らざるを得なかったというのは深読みしすぎではないかと。そういう搾取の構造も含めて,日本が昔ほどみんなが豊かな状況ではなくなっているということの方が影響が大きいのではと思います。能力の無いもの,努力しないもの,環境に恵まれないもの,こういった層への富の再分配が確実に減っている。若くして貧しければ希望も持てない。貧しく希望もなければ,社会への不満も鬱積するということじゃないかと思います。


■じゃあどうなるんだ

確実に治安はいまよりも悪くなっていくでしょう。社会に対する鬱積した不平不満を持った若い層が増えるわけですから,犯罪が増えるに決まっています。短絡的,衝動的な犯罪も増えるでしょうから,検挙率も下がるでしょう。犯罪にあっても救われない,あうだけ損的な風潮が広まるかもしれません。
ますます希望の持てない社会になっていくことは確実ですね。