マネジメント実験室

小さな企業の経営・マネジメントを通して日々考えたこと、学んだこと、感じたことを。

価値を生み出せる人材流動化を切望

日本経済を活性化させるためには、優秀なビジネスパーソンが、新しい価値(サービス)を世の中に提供できる、新しいビジネスを生み出していかなければならない。


ところが日本の場合、問題なのはそのような優秀な人材がほぼ100%大企業に属してしまっているということと、大企業はそういう人材を使って新しいビジネスを興すことが、必ずしも上手くないということである。


上手くないというのは、お金をあまりかけないということもあるが、社内的な手続きの壁とか、余計なパワーバランスの壁とかが多すぎて、優秀な人材が機能しきれていないというのが実態だと思う。


私の場合は、会社に休職制度というのがあって、これは主には留学などの自己啓発とかセカンドライフのための準備などに使う目的の制度なのだが、これをちゃっかり利用させていただいて、ベンチャーでの力試し期間とした。


もちろん、受け入れ先のベンチャーでも転職という形ではなく、一時レンタルという形での受け入れを許容してもらえたことも大きい。


こういった、いわば長期間の紹介予定派遣のような就業形態が許されれば、大企業からのスピンアウト組も増える可能性はある。私もレンタル期間を経て転職できたから、スムーズな移行が可能だったと思う。


政府主導の雇用創出に、こういう人材流動化による景気刺激策につながるものはできないのだろうか。


大企業はとにかく組織が大きいため、いろいろな事情で力を発揮しきれていなかったり、モチベーションを下げてしまった有能な人材が必ずと言っていいほど存在する。


そういう、まだ腐っていない良い人材を期間限定でもいいから3年から数年間、ベンチャーにレンタルすることはできないだろうか。もちろん、年収も半分ずつ持つような形でいい。


大企業に所属する人材は、私も含めて、やっぱりどこか安全志向のところがあり、このままここにいても能力を発揮できないかもしれないと思いつつも、なかなか転職などの思い切った環境変化を自ら起こすことは難しい。


かと言って、そんな安全志向のやつはベンチャーに向かないと言っていたら、ベンチャーなんてカスのような人材しか集まってこないのが現状だ。


下流部分の社会福祉的なセイフティーネットを設ける一方で、優秀な人材向けのセイフティーネットも整備すれば、もっと人材流動化が起こるはずだと思う。


仕事が欲しいというレベルの人材ではなく、きちんと価値を生み出すポテンシャルを持った人材が流動化してくれないと、経済活性化は難しいと、本当に切実に思う。200万〜300万円年収を上乗せすれば、つまらん人材で妥協せずに、欲しい人材が確保できるのに、と思っているベンチャーはたくさんあるはずだ。