世に出た数々のヒット商品のナマの企画書を公開するという趣旨の本。
- 作者: 戸田覚
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2005/01
- メディア: 単行本
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草稿中のものではなく,ある程度社内向けに練られた段階の企画書であるので,結構美しいものが多い。
この段階に至るまでの苦労が相当なものであることは,企画書を書いた経験のある人ならば容易に想像がつくはず。
ナマといえばナマであるが,ここに至るまでどのような経緯を経てきたのかも気になるところではある。
しかし,企画書として押さえるべきポイントがどのようなところにあるのか,非常に参考になる。
業界によっても,またそれぞれの企業によっても,どのような企画書が求められるのか,それぞれのカルチャーが垣間見られる。
私も大企業の企画部門にいた頃にはA3の美しい企画書をたくさん書かなければならなかった。その内のほとんどはマイナーチェンジで,美しくなるにしたがって,最初の勢いのようなものが失われる気がした。だんだん上層部向けになるにしたがい,玉虫色の,美しいが誰の企画なのかわからなくなるような代物になってくる。
ベンチャーではスピード重視,というよりも企画書で説明を要するような階層化が進んでいないので,手の込んだ企画書を見たことがないし,自分も書いたことがない。
確かに,いろんな意見を盛り込み,玉虫色にする時間の無駄はなくていいが,企画書を書きながらじっくりと頭を使うということが少なくなる。企画書を見せる相手をイメージしながら企画書に魂を込めていく作業は,それはそれで楽しいものだと思うし,人材育成としても活用できる。アイデアレベルからいきなりパワーポイントで企画書を作る(作れるだけましではあるが)ので,ほとんど中身に乏しいという企画書をたくさん目にする。
この本に登場する企画書を見ていると,企画書というものが,ゼロから形あるものを創造していく段階で,それを人にイメージしてもらい,理解してもらうために必要不可欠なビジネスツールであることを再認識させられる。