マネジメント実験室

小さな企業の経営・マネジメントを通して日々考えたこと、学んだこと、感じたことを。

義務教育で商売の基本を教えた方がいい

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MBAシリーズには領収書の書き方は書いていない

大企業からベンチャーに転職して困ったことのひとつが、会社におけるお金の回り方について知識がほとんど無かったことです。

BSとかPLが読めないといったレベルの話ではなく、物やサービスが提供されて請求書が発行され、顧客からの入金を経て、そのお金が社員の給与になったり会社の運転資金になったりするという基本的な流れのことです。

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企業活動におけるこの基本的なお金の流れについて、恥ずかしながら知識がありませんでした。理系学部を出て企業に就職し、研究・開発や生産といった部門で技術系職種で働いていたということもありますが、大企業だったので業務が分業化、細分化されていたことも大きいと思います。

そんな自分が自ら望んで、当時の社員数の比較で1000分の1くらいのベンチャーに転職したわけですが、私はMBAホルダーでもなく経営の経験も全く無かったので、〇〇MBAシリーズといった経営に関する基礎参考書を独学ではありますが、一応勉強したりしました。

ところが、全く役に立たないわけです。

前述のMBAシリーズで“アカウント”や“財務”といった分野も一応勉強したのですが、キャッシュフロー計算よりも前に、請求書の発行とか領収書の書き方といった基本知識が必要でした。

私は学部を卒業した後、大学院で2年かけて修士過程まで修了しているのですが、お金に関する授業、講義を受けた経験が一切なかったのです。

「そんなの常識」と言われるとそれまでですが、私のような社会人は結構いるのでないかと思います。

小学校や中学校の社会科では、地元の産業について勉強したり、社会科見学と称して、商店街や工場の見学などに行った記憶があります。しかし、お金の具体的なやり取りに関することは教えられなかったと思います。

高校でもそうですし、大学の一般教養でも請求書と領収書について学ぶことはありませんでした。 

日本の場合、そういったビジネスのイロハは企業に就職してからOJTとして学ぶのです。

 もし起業や中小企業の活性化を促すなら、小中学校の義務教育の場で、こういったビジネスのお金についての話を教えるべきです。物には原価があって人件費、利益が乗って値段が決まってくるといった基本を教え、授業中に模擬ビジネスとかやらせればいいのではないでしょうか。

■子供なら楽しみながら商売の基本を学べる

私が小学生の頃、小さな紙片にお札の模様がプリントされたおもちゃのお札が流行っていました。それを使って、遊びで物の売り買いや、銀行ごっこのような遊びが自然発生的に流行り始めました。子供というのは、大人の世界への憧れがあるため、そういう遊びが楽しい時期があるのです。

だから、きちんとお金のことを教えて、株式のことや銀行の機能、貨幣と市場価値などについても模擬ビジネスをやりながら教えてみれば、子供は楽しんで学ぶことができるはずです。

請求者や領収書も書いてみればいいでしょう。そうすれば、大人になってから私のようにあたふたすることもないのです。

そうやって商売=ビジネスに関心を持った子供たちの中から、将来自分でビジネスを興してみたいと考える起業家が出てくるかもしれません。

本来ビジネスは楽しいものですし、お金に対して正しい知識や距離感を学んでいれば、お金に対してアレルギー反応を起こすこともないでしょう。

そもそも現場で教えている教師もお金についてはよく知らなかったりするわけですから、そのあたりから是正しなければいけないかもしれませんね。