マネジメント実験室

小さな企業の経営・マネジメントを通して日々考えたこと、学んだこと、感じたことを。

心を動かすリーダーシップ

これは実話に基づいた2代目社長の物語を通して,リーダーシップとは何かについて書かれた本です。

コーチングのプロが教える心を動かすリーダーシップ

コーチングのプロが教える心を動かすリーダーシップ


自分の父親が病に倒れたため,銀行員だった息子がやむなく後を継ぐことになります。
しかし,会社は経営危機。経営(=マネジメント)に悩んだ末,著者のもとを訪れコーチングを依頼します。
ここから,この2代目がどのような試練を乗り越えて(あるいは失敗を犯して),本当の意味で社長になっていくのか。
特に,影の抵抗勢力となってしまった先代社長(=父親)との対決は,会社とはいったい誰のものなのかを考えさせられます。
非常に泥臭い内容なのですが,特に中小規模の企業においてマネジメントに真剣に悩んだ経験のある方には心に響くものがあるでしょう。
経営(=マネジメント)には知識やスキルも非常に重要ですが,人間を相手にする以上,対人関係の真剣勝負が必要になる場面が必ず出てきます。
主人公は,この真剣勝負に逃げることなく,ぶつかって血だらけになりながら少しずつ社長として成長していきます。
おもしろいのは,決して成功物語ではないということ。また主人公も生まれながらのリーダーではなく,弱音も吐くし,問題から逃げたりもします。
その結果,多くの失敗を犯し,文字通り血だらけになってしまいます。
明日からすぐに使えるマネジメントスキルを会得できる本ではありません。万人に通用するリーダーシップの極意がわかるというものでもありません。
ただ,日々マネジメントに悩んでいるときにこの本を読むと,何かのヒントが得られることは間違いありません。
この主人公の行動を通してもわかるように,経営(=マネジメント)には王道というものはなく,自ら信じた道を愚直に進むしかないのかもしれません。
その信じる道が本当に正しいかどうか,他人の過ちを通して軌道修正するきっかけにはなるでしょう。