マネジメント実験室

小さな企業の経営・マネジメントを通して日々考えたこと、学んだこと、感じたことを。

ロストジェネレーションを納税者にしなければならない

■割を食った新卒たち

私自身はバブル期末期に就職活動をした人間なので,その後訪れた本格的な就職氷河期時代を当事者として語ることはできません。


世間一般では大企業と言われる企業に技術職として就職し,その後の失われた10年=就職氷河期,リストラ期を後輩を迎える側,中堅社員として過ごしました。


どこの企業も大幅に新卒採用枠を減らす中,会社の後輩,研究室の後輩,クラブの後輩,その他を毎年見て思ったことは,状況がどうであれ,就職できるやつはできる,優秀なやつらは希望の就職を実現する,ということでした。実力とかコネとかタイミングとか,運も含めて氷河期なんてほとんど関係ないと思われるほどでした。


私が見てきた彼らは,学歴という点では不利になる要素は全くありませんが,各大学ごとに見ると,それまで就職先一覧に名前が挙がっていなかった企業にもちらほら就職者が見受けられました。有名どころばかりではなく幅が広がったということでしょう。


それでも新卒採用枠は確実に減っていたわけですから,割を食ったのは,(入試時の偏差値で)二番手,三番手大学の学生たちであったことは容易に想像がつきます。


日本は学歴社会なんだから,厳しい言い方をすれば,それは当然だろうという見方もあります。それまで当然とされてきた「大学さえ出れば職にありつけた」時代の方が特殊なんだというのも間違ってはいないと思います。


ただ,景気の失速に企業側が全く責任がないわけではなく,企業ごとに不景気対策が違っていて当然なのに,新卒採用だけは,とりあえず横並びでどの企業も右に倣えで手控えたのは,あまりにも安易な流れだったのではないかと思えます。


■リストラ中高年の悲哀は本当だったのか

ホワイトカラーからライン工に至るまで,中高年が実際にリストラされたのは事実ですし,身近にも例はたくさん見ました。


ただし,統計で見ると,最もひどい時で完全失業率は6%と世界水準で見れば非常に低い値に止まっています。


統計というのはいろいろなごまかし方ができるので,確かに鵜呑みにはできないのですが,解雇されて生活が破綻した労働者がいったい何万人いたのか。
なぜ解雇されてしまったのか。企業内には未だに大して役に立っていないのに巣くっているような中高年がたくさんいるというのに,それぞれの賃金はさほど下がっていないのはなぜか。


中高年の中にもリストラ=解雇によって大変な人たちも確かにいましたが,大半の中高年層を守るために,将来の働き手である新卒を門前払いにした,という構図は否定できないのではないでしょうか。


■シッペ返しはボディーブローのように

失われた10年の間に就職期を迎えた学生の内,景気の良い頃にはどこかにもぐり込めたはずが,景気が最悪だったがために,どこからも門前払いされた一群。


彼らがその後正社員となり,税金を納めることができるようになればまだしも,余裕のない生活を強いられているとしたら,医療保険制度・福祉制度などを支える国民として彼らを勘定に入れることができるのでしょうか。


彼らが正社員となれなかった原因の一端を担ってしまった中高年が高齢化したとき,それを支えるべき者たちに10年間にもわたるブランク層があったとしたら。


その分の負担は,まともに就職できた数少ない優秀な層にシワ寄せがいくはずでしょう。


少子化で支える層の絶対数が減っているのに加え,国家システムを支える納税者となるとさらに数が減ってしまう。年齢別の人口統計からは見えない非常に恐ろしい状況が待っていそうです。


■納税者を増やさなければ大変なことに

ニートやフリーターといった非正規雇用者の問題は彼ら自身の問題としてだけではなく,納税者確保という意味でも,対策を立てて彼らを国家システムに組み込んでいかなければならないでしょう。いままともに働いている人間だけでは将来の日本の国家システムを支えることは難しい。
例え賃金は低くても,働いている間は一定の税金を納め続けてもらう必要があります。


彼らを納税者にするために,いま一時,職業訓練や補助に税金がかかったとしても,彼らの残りの人生を考えれば,納税額の方がはるかに上回るのではないでしょうか。


彼らの存在をなかったことにするならば,彼らが将来高齢化したときも,彼らは存在しないことにして福祉制度から切り離さなければおかしい。でも,そんなことは現実的にできない以上,やはり彼らにも我々と同じように国民としての義務を果たしてもらえるようにしなければならないでしょう。