これまで個人情報についてはかなり神経質に対応してきた。しかし人為的なミスは100%防ぐことは難しい。それを思い知るトラブルが生じてしまった。私たちは仕事情報をネットにアップし求人を行っている。派遣・紹介業と同じだ。私たちの顧客は一般の個人だから,掲載する情報は全て個人に関わるもの。もちろん完全に匿名性を持たせるので個人情報は保護される。それが,ミスによってごく一部だが個人の苗字が掲載されてしまった。もちろん気付いてすぐに処置を行ったが,顧客への対応をどうするかの検討で悩んだ。
「苗字だけでも個人情報なのか?」
「個人を特定できる情報なのか?」
「訴訟の対象になり得るようなものなのか?」
などなど専門家から見れば初歩的な疑問ばかりで悩んでしまった。顧問弁護士に相談したところ,苗字だけでも個人情報にはあたるが,個人の特定には至らない,したがって訴訟になっても多額の損害賠償の対象にはならないとのこと。なるほど,しかし顧客に対してはやはりきちんと情報を伝えるべきだと判断した。例え個人を特定できないにせよ,本来なら掲載されることのなかった情報なのだから,気持ちのいいものではない。全ての経緯と対応策をまとめて報告をした。幸いなことに理解を得ることができ,事なきを得た。もし,顧客に何も伝えなかったにしても結果は同じだったかも知れない。ただ,全てを正直にオープンにするという姿勢は,今後必ず自分たちを救うことがあると信じている。それにしても,個人情報はどれだけ神経質になってもしすぎることはないということを思い知ったトラブルであった。人為的なミスは100%防ぐことはできない。だから,例えミスがあっても大きなトラブルにつながらない本質的に安全なシステムが必要なのだ。