マネジメント実験室

小さな企業の経営・マネジメントを通して日々考えたこと、学んだこと、感じたことを。

組織を変革するⅢ

1年を変革の期限として古巣の事業部に戻ったところ,現場のオペレーションやサービス提供のシステムなど,仕組みの部分は機能していた。しかし,組織としてはガタガタの状態。変革の目標として以下のものを掲げた。
1.情報の共有
2.問題意識の共有
3.自律した組織


◆『紙に書き出して手書きでいい』
まず「情報の共有」については,普段使っている必要な情報を電子ファイルで共有管理するところから始めた。インデックスを最初に私が考え,必要なものをどんどん付け足してもらった。必要な情報を整理して管理する。自分たちで管理する癖を付けてもらうことが目的である。決まった仕組みで組織やサービスが動いていると,人間はじきに考えなくなる。考えなくても仕組みが回るからだ。
次に情報を共有するために,日々更新の激しい情報,ずっと保管しておく必要の無い情報は,「手書きでいいから髪に書き出す」ようにした。これをみんなが見える場所に貼り出して,情報を共有化するのだ。電子ファイルは週1回のミーティング時に共有するようにして,普段は手書きの表で管理するようにした。
書き出して初めてみんなが気付いたのだが,結構たくさんの情報を日々処理しているのである。しかも担当者同士が口頭だけで確認しあっていることも多い。これでは抜けやミスが起こるはずである。
書き出すようになってから,自分の分担ではない範囲でも気が付けば指摘をしあうようになった。全員で書き込み,全員がチェックをする。うっかりミスがかなり減った。


◆『問題は日々生じている』
こうやって,情報の管理をみんなでやって情報を共有化するだけで,自分たちの組織内で何が問題なのかをみんなが考えるようになる。自分が直接担当していない課題・問題も,知らなければ考えようとしないが,知った以上は少しは考えるわけである。問題は日々生じているわけだから,みんなで日々それに向き合っていく必要がある。問題意識を共有することで,それぞれ違った角度から問題を分析して,解決策を考える。最終判断は私が下すにしても,どう問題を捉え,どう解決するのかはみんなが考えればいい。私が全てのリスクをピックアップするなんてできるわけではない。私がやるべきだと考えているのは,リスクをどう捉えて,どう判断するのかというプロセスを,私なりの経験から見せることだ。必ずしも正解を導いているわけではない。プロセスを見せる途中で,「それは違う」ということになれば,判断を変えることだってありうる。より最善の策を取れればそれでいいのだ。それでマネージャーの面子が潰れると考えるのはおかしい。そういうプロセスを普段から繰り返すことで,細かな判断は各自が考え,下せるようになる。あてずっぽうではなく,きちんとプロセスを踏んで判断しているわけだから,「なぜそう判断したの?」と質問しても答えることができる。私が納得する答えなら,それでよいのだ。


◆『自律した組織を目指して』
こうやって目指すのは自律した組織である。私が細かいことを言わなくても,みんなが考えみんなが判断して進んでいけばいい。私はときどき介入して方向修正するだけ,というのが理想である。もちろんまだまだそこまでは行かないが,日々前進である。

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